土曜日。
人は完璧じゃないと、よくいわれるが、わたしのまわりには“一人だけ”完璧な人間がいる。
その名も「ヌオー」
名前だけ見れば、泥属性の間抜けな中ボス感満載だが、
プロポーションも脳みそも、人柄も何もかもパーフェクトな、聖属性の人間。
というかもはや聖女である。
きっと彼女は神様から、特に愛されて生まれてきたのだとおもう。
その証拠に、彼女は神様からギフトを与えられている。
その名も
「大いなる女神の果実(ビッグツインメロン)」
老若男女関わらず、人を魅了する聖なる果実。
あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ
埋もれたい。
そんな彼女のひとことで、ことは始まった。
*
「友だちがお高いワイン開けるんだって!一緒に行かない?」
普段ワインどころか、お酒は甘酒しか飲まないくせに、
「大いなる女神の果実(ビッグツインメロン)」に魅了されていたわたしは、
ニュータイプを思わせる反応速度で「行く行く行く!!」と言ってしまった。
目的地は“麻布十番”
時刻は22時をまわってる。
「あれ?わたし今日ヌオーに抱かれる?」
そんな緊張もあってか、念のため思いつく限りのおめかしをしていった。
*
23時にヌオーと落会い、思う存分メロンをぱふぱふもりもりしたあと。
麻布十番に住むという、ヌオーの友人宅へ向かう。
マンションのインターフォンを押すと、わざわざ出迎えにきたのは「塩顔系男子」。
以降、彼のことを「ソル男」と呼ぶことにする。
塩顔なのでソル男。そのままだ。
*
その後、人生で初めて美味しいと思ったワインたちを思う存分堪能し、仲間たちと談笑に明け暮れた。
ワイン会の最中、やけに近づいてきて声をかけてくる、ソル男。
正直いって、わたし的にこのソル男がめちゃくちゃ、どストライクだった。
ここ最近で一番、胸が高鳴った。
田舎のヤンキーが乗る車についてる、ウーハー並に重低音を奏でるわたしの心臓。
たぶん心臓のはじっこが、口から出てたと思う。
*
しかもこのソル男。
笑顔がとてつもなく、
かわいい。
それはマシュマロのようにふわっとしていて、
焼きたてのパンの湯気のようにほわぁっと、幸せになる。
そんなステキな笑顔だった。
しかもそれだけではない。
「ありがとう」
が、息を吸って吐くように、当たり前に飛び出してくるのだ。
それはまさに金太郎飴。
あっちを切っても、そっちを切っても、こっちを切っても、ありがとう。
わたしは結婚するなら「ありがとう」と、感謝の言葉を素直に伝えられる人
と決めていたので、これはもう「ビビビ!ときた」なんてもんじゃない。
「バキボギゴリ!!!っときたでごわす」
くらいの衝撃的な出会いだった。
この世にここまで顔面がどストライクで、しかも「ありがとう」を自然に連発できる人間が存在するのかと。
少なくとも、歴代の彼氏を思うと全く考えられない出来事だった。
*
※ここから少し「下」と思われかねないことを書いて行くので、苦手な方は目を手のひらで覆いつつ、隙間からこっそりのぞき込んでほしい。
母と妹の3人で長らく暮らし、育ったわたし。
正直、男性とはこういうものだ。と学ぶまでにはかなりの時間を要した。
以下の記録を見てほしい。
【わたしのダメンズ図鑑】
case1:漏裸 破裸男(もら はらお)
ふたりでいる時に限り、しっとりとした、言葉の暴力を浴びせてくる。
かと思いきや、考えられないほど優しくなる。
少しでも思い通りにならなければ、理不尽に攻め立ててくるモンスター。
武器は「囲い込み」
無駄に良い外面を利用し、周りの友人に相談しても、信じてもらえない現実を作り上げる。
case2:金 有男(かね あるお)
年商数十億を稼いでいることが人生最大の自慢。
信じられるものは、金。最近のお気に入りは、新しく購入した不動産。
金をチラつかせれば、いい思いをできると思っている。
全く相手にされず、小娘に説教されショボーン。
良い子は、心はプライスレス。お金では決して買えない、ということを覚えておこう。
case3:妻子 要夫(さいし いるお)
既婚者。
ある日、クリスマスに乗じて突如ネックレスをプレゼントしてくる愚か者。
妹にネックレスを譲渡し、着用することもなくメルカリへ。
*
と、まぁこんな具合だ。
ちなみにこれはおそらく遺伝で、わが家の女子3人は総じて男運がない。
ようやくこの連鎖を抜けた果てに、母はとてもステキな旦那をゲットしている。
娘のわたしからみても、羨ましすぎるほど愛されている。
おめでとう、母よ。
これまでの経験を踏まえ、ようやくソル男に出会ったわたしは、今度こそ!と意気込んだ。
*
友人宅で夜を過ごし、朝一には寝ている友人たちを横目に、ソル男とふたりできゃっきゃと皿洗いをした。
そして友人を起こさぬように、そっとソル男とふたりで部屋を出たわたしは、そのとき初めてふたりきりの時間を過ごすことになった。
金太郎飴級のありがとう+焼きたてパンの湯気スマイルにすっかり心を打たれ、見事に恋に落ちていたわたしは、少しドキドキしながら隣を歩いた。
なんて女子なんだろう。
ヒゲが生えてきてもいいほど、男勝りであると自分では思っていたのだが、少しその認識を修正しても良さそうだ。
駅まで、お互いの趣味の話や、休日の過ごしかたをシェアすること約20~30分。
地上に出るまで、約10分ほどかかる面倒な改札までわざわざ送り届けてくれるソル男。
「漏裸 破裸男」や「忌魔 裸痴男」じゃ、絶対にやらないことをされ、さらに喜ぶインマイハート。
改札前で、またご飯でも〜と口約束を交わし、その場を離れる。
それはまるで、ハクと千尋がお別れをするシーンに相当する美しさだったであろう。
*
電車に乗り込み、お礼の連絡をする。
色々やりとりをし、その中で送られてきたソル男からの返事には。。
「また、暇な時にでもご飯行こう〜」というもの。
すっかり20代半ばということを忘れ、純真無垢・天真爛漫なハイジと成り果てたわたしは、
「いく〜!この日とかなら空いてるよ〜」
と、豪速球で返事をした。
*
そして、今。
「返事がない。まるでしかばねのようだ。」
あれ、おかしくない?
なんだったのあの時間、なんだったのわたしのトキメキ!!
あっちから誘ってきたんだよね?わたしからじゃなかったよね??
途中まで普通だったよね、むしろめっちゃいい感じだったよね!!?
デザートワインとブルーチーズ並みにいい感じだったよね!!!?
生ハムメロンを超える、最高の相性だと感じていたのはわたしだけか?
何、このさざ波感。
すっごく近くまで迫ってくるけど、足元をさらっていくほどでもない。
この「匂わせ感」
流行ってんのか匂わせ。
流行ってんのか!?
国民的ブームになってんのかコノヤローー!!
これだ伝えたい。
返事を遅らせて気を引けると思ってるやつ。
まじで逆効果だからな。
女子会で「ダメンズ」扱いされる、くそみそテクニックトップだからな。
*
今回「匂わせ男子」に出会って学んだことは、
「ヒトに対して、過剰な期待を寄せるべからず」
期待をするなら、自分にしよう。
他者に期待すると思い通りにならなかった時に、自分が辛い。
期待は時に、相手にとってもきついものであろう。
女心はよくわからない、と耳にするが、それは女も同じだ。
男心はよくわからない。
性的な眼差しを向けられている時だけ、唯一気付けるのだが。
本気でこちらに気がある時には、女も割と気づけないのだ。
わたしは一刻も早く、神木くんと友だちになって、恋愛相談をさせてもらいたい。
男心を神木くんから学ばなければならないのだ。
これはわたしの使命だ。
わたしが幸せにな恋愛をするために。
神木くんがわたしに男心を享受して得られるものは、その時、彼自身に見出してもらおう。
よし。早く神木くんと、友だちになろう。
そう、心に固く誓った。
※後日R兄から「男子に即レスはNGよ!」とご教授いただきました。。世の中の女子は気をつけよう!
**おまけ*****
わたしの強力な情報網。
海苔さんからのLINE。
エランドール賞 新人賞受賞!
神木くんおめでとう!!
ところで、エランドール賞ってなに?
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=R兄:鉄の掟=====
その1:ネットで神木くんの動向を得ることなかれ。※WikipediaやファンのツイートチェックもNG❌ とにかくアナログで情報を収集せよ!
その2:TVや映画など、神木くんが出演している作品は閲覧を許可する。
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